映画「娼年」感想とちょっとしたぼやき
ようやっと見に行きました！前回書いた闇金ドッグスもこの娼年も自県で公開されてない問題…。でもオタク、自県で公開されてなくてもめげないしょげない見に行くぞの精神で海を越えて映画館へ。もう慣れた。それに慣れるのはいいことなのかはわかりません。
いつものように感想を箇条書きで。ネタバレあり。そしてオタクの妄言込みです。
※舞台版観賞済、原作未読です。
- 普通でいられること
この物語の主人公、リョウの最大の特徴は普通であること。至って普通。普通だからこそ何にも囚われず、柵もなく、自由。穢れなきもの。
リョウはセックスは「面倒な運動」と称していて、それ以上でも以下でもない。セックスを肯定もしていなければ否定もしていない。ただ女性のことを知らなかっただけなのだ。この映画では何人もの女性と何回もセックスをしていくのだが、これがまあ徐々にやわらかくなっていくんですよ。硬さと柔らかさ？の表現がすごい。リョウは最初本当に相手のことは考えず、まさに「運動」って感じで、リードもせず一人でやっていた。
- リョウが松坂桃李である意味
リョウの特徴は前述の通りです。あんだけセックスしてこれでもかと裸になり水音を響き渡らせ腰を振りまくり喘いでいるのに、いやらしさが全くないんです。それもリョウの特徴。舞台でも娼年をみました。もちろん生です。そして今回も。でも性的興奮は全く覚えませんでした(性欲はあります)。個人的にはリョウからいやらしさが出てしまうと、もうそれはリョウではないと思っています。全くいやらしさを感じさせず、かといってエロスを感じないわけではないこの絶妙な雰囲気と色気は松坂桃李くんだからこそ出せるものだと思っているし、正直きっと彼よりもっと魅せるのが上手く、色気のある演技ができる俳優さんはいらっしゃるかもしれない。でもこの「いやらしくない色気」を出せるのは彼の特徴であり武器なのでは？と思っています。
- 女性がどんどん綺麗になっていく
人は、みな他人には言えない欲望を隠し生きている。最初から欲望をむき出しにできる人なんてそうそういない。
内に秘めている「モノ」を隠している、それが慎ましいし、欲望を受け入れられ解放した女性はとんでもなく綺麗。
- 最初のお客さんのヒロミさん
めっちゃ好きです！初っ端からフ○ラは健在だったし、舞台ではシャンパンをリョウくんのアソコにぶっかけたりしてました。エンジンかかってきたらかなりハイになるヒロミさん。推せる。ヒロミさんのアウター素敵。ダイナミック入室。
- イツキさんが好き！
イツキさんの受け入れてくれるか不安な表情から、リョウくんに受け入れられた後のしあわせそうな顔を見るとわたしも嬉しいです。イツキさんのような雰囲気の女性が紐パン履いてたら個人的にギャップで倒れそう。漏らした後のリョウくんの対応が優しすぎて泣く。
- というかここに出てくる女性みんな好き！
これに尽きる…尽きるよ…美しい…
- アズマの話
アズマはドＭではないんです(重要)。痛覚が快感に変わるだけ。です。
相変わらず体位が謎。そして際どいパンツ！舞台だとたしか僕の身体を切ってか刺してだった気がする…映画は僕の小指折ってだった。
アズマもずっと自分のこの異常な体質を普通の目で見てくれる人を求めていたのかもしれない。リョウのような「普通」の人間を求めていたのかも。。。
普通の感覚の人が気持ちよく致せる方法を勉強したっていうのが個人的には胸がきゅっとなった。
アズマは男性です。相手は女性だけではないのです。欲望を受け入れて欲しい、愛して欲しいという気持ちに男も女も関係ない。そしてそれに応えるのは必ずしも異性だけではないのです。
- 泉川夫妻、映像でもフルスロットル
舞台でめちゃくちゃ笑った泉川夫妻。リョウくんサングラスフルスロットル！！お尻ベチーン！！！
アズマvs泉川夫妻も見たいです先生…
- 松坂桃李のおしりの上にあるほくろが全国に行き渡ってしまった
これは大変ですよ！ちなみに写真集「TAO」でいつでも見れるよ！
- リョウくんの服装と髪型
舞台だと全体を見渡せるけど、映像はカメラに映っているところしか視覚的には見えない。だからあえて映像で表現できる「アングル」を武器にしていると感じた。カメラワークぐるぐる変わるんですよ。あらゆる体位を！あらゆる角度で！これでもかと！見せつけられました！
舞台だとセットがあるので、舞台上にある「階段」を使って、リョウの心境の変化を表現していた。階段の降り方。
映像では階段はない代わりに服装や髪型表情は見えやすい。そこで変化を表現しているのかなと感じた。
- 涙の流れ方
ほんっっっとうに美しい……松坂桃李の涙は全人類見てほしい勢い。ほんとうに わたしが彼を推したいと思ったポイントの一つなので……
今までため込んでいたものが、1滴我慢できず1筋ツーーーーっと流れ、そこから決壊したようにボロッボロ涙がこぼれていくのが美しすぎてわたしも泣きながら参りました～～～～ッッッ！ってしょっちゅうなっています。冒頭の涙流しながら目覚めるシーンだけでもう泣きそうになりました。ピークは静香さんに肩貸されてるときです。
- 静香さんとさくらちゃんと恵
リョウくんはあくまで「娼夫」として、「仕事」として女性を抱くけど、この3人だけにはリョウくんは「欲」があったと思う。
「この人とどうこうしたい」「特別な人」という欲が。
静香さんと自分の母親を重ねていたと思うし、病気で直接抱けないと知ってからはさくらと通じることで静香さんとも繋がろうとしたのかなと。
1回目、2回目でさくらの抱き方が全然違うのが凄い。2回目はちゃんと2人で、3人で。あのエクスタシー感じてます～～～って演出は欲望の解放？なのかな。なんかやたら光ってた。
恵は娼夫として働くリョウくんのことを「汚い」と言ったことに後悔を感じたのかな。だからリョウの姿を実際に見て、住む世界が違うのを実際に感じてさようならをしようと思ったのかもしれない。でもリョウくんはさようならをしなかった。リョウくんがバーテンダーをやめなかったのはきっと恵のためなのかなと思った。映像でも潮の勢いが良かった…。
- バーテンダーはあかん(あかん)
シェイカーでカクテル作ってるシーンでわたしを殺せ…ってなりました。フェチが過ぎる。わたしは一体何回バーテンダーに殺されねばならないのだ…*1
- 松坂桃李＋アイスピック＝わたしがしぬ
前世、アイスピックを使う殺人鬼*2
2時間でまとめたのは凄いと思いました。舞台には舞台の見方があるし、映像には映像の見方があると思います。宣伝としてはR-18！ずっと濡れ場！って感じですが(合ってはいる)、個人的にはこの話はとても心が温かくなる話です。不安な心、これは醜いんじゃないかなって思ってしまう後ろめたさのある欲望だって、人間は誰にでも持っている。それを肯定してくれる。誰も欲を否定しません。だから心を満たしてくれます。色んな女性に見てほしい。そして男性客も結構いて少し驚いた。
これはぼやきなんですが、今日の客のマナーが酷すぎた…上映中に平気でスマホの明かり付けるわ、エンドロール中に携帯開くわ、遅刻して本編中にわたしの目の前通るわ、高い位置で足組むわで…真面目にびっくりしました。みんな映画泥棒前の映像も見て理解しようぜ…折角のいい映画が台無しになっちゃうよ…
